貸し切りの森の中に独りワンポールテントでビールを飲む話(後編)

畏友との夜更けの語らい、デンキブランの甘美な誘惑に抗えず、いささか飲み過ぎてしまいました。翌朝、目覚まし時計の無粋な音ではなく、野鳥たちの清らかな歌声に瞼を持ち上げました。

野鳥や鹿の声で目覚める朝

鏡に映る己の姿は、昨夜の陶酔の名残を色濃く残し、髪は寝癖で乱れ、顔色は優雅とは言い難いです。

されど、そんな時にこそ、昔愛用していたINSPIREの帽子が役に立ちます。これを被れば、乱れた髪も隠れ、わずかに旅愁を漂わせる粋な紳士に見えなくもありません。

森の朝は、実に賑やかです。小鳥たちのさえずりに加え、鹿の鳴き声も遠くから聞こえてきます。目を凝らすと、木々の間を縫うように、彼らの姿がちらりと見えます。好奇心に駆られ、後を追ってみるも、警戒心の強い彼らは、すぐに茂みの中に姿を消してしまいます。されど、この追いかけっこは、良い運動になりました。

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