朝霧Camp Base「そらいろ」/トヨタユナイテッド静岡運営の高規格キャンプ場

夏の森を抜けて、心の安らぎを求めて

降り注ぐ夏の強烈な陽光が、広大な森の木々を、いっそう鮮やかな深い緑色に染め上げて輝かせていました。うだるような暑ささえも心地よく感じさせるほどの、青空と大自然のコントラスト。私は、愛車である四輪駆動の力強いエンジン音を心地よく響かせながら、滑らかなアスファルトの道を西へ西へと進んでいきます。目指すは、トヨタユナイテッド静岡が運営する、自然との調和を謳う特別なキャンプ施設、朝霧CampBase「そらいろ」です。

車の窓を開けると、緑と土の混ざった独特の香りが流れ込んできます。この先に待っているであろう、非日常への期待で胸が高鳴りました。道中、何度も視界の先に現れるのは、その雄大で荘厳な姿を惜しげもなく見せつける、日本の象徴たる富士山です。その麓に広がる朝霧高原の特別な土地に、「そらいろ」は静かに佇んでいます。今日という一日は、都会の喧騒から完全に離れ、この大自然の懐の中で、五感を研ぎ澄ませて、時の一瞬一瞬を丁寧に、そして深く味わい尽くしたい。そんな強い思いを抱きながら、私はハンドルを握り続けました。

キャンプ場近くは乗馬クラブあり 最徐行で
トヨタが運営なので駐車場など車での利用が配慮されている

馬小屋に隣接する、静寂を重んじるキャンプ場

広大な敷地を持つキャンプ場の傍ら、ふと視界に飛び込んできたのは、静謐な雰囲気を纏う馬小屋の存在です。

すぐ近くに佇むこの馬小屋には、数頭の繊細で美しい馬たちが暮らしているのでしょう。それゆえ、このキャンプ場では、特有の厳格な配慮が求められています。自動車のエンジン音に極度に敏感な彼らの穏やかな生活を守るため、馬小屋の正面を通過する際には最徐行がドライバーに義務付けられています

この一見すると些細にも思える、しかし心温まるような細やかなルールこそが、このキャンプ場の確固たる品格と、そこに息づく自然や生き物たちへの深い敬意を雄弁に物語っています。人間中心ではない、共生の精神が根付いていることに感銘を受けます。

さて、今日私が過ごす場所として選んだのは、キャンプ場の中でも特に静寂に包まれた「しっぽりエリア」の、そのまた最も奥深い場所です。喧騒から隔絶されたこの区画は、まるで自分だけのプライベートな空間のように感じられ、秘匿感と非日常感に満ちています。

周囲を気にすることなく、時間の流れさえも緩やかに感じられるこの特別な場所で、日頃の忙しさを手放し、心ゆくまでゆったりとした贅沢な時間を過ごすこと。それこそが、今日の私にとって何にも代えがたい最優先の目標なのです。

今日は「しっぽりエリア」の最奥部をチョイス

容赦ない夏の陽射し、まずはタープから

キャンプサイトに足を踏み入れた瞬間、肌を焼くような夏の強烈な日差しが、容赦なく全身に降り注いでいるのを感じました。容積の大きな入道雲が青空に浮かびながらも、日差しそのものは一向に衰える気配がありません。まさに、生命の危機さえ感じさせるような、過酷な状況です。このような日差しが最も厳しく照りつける日こそ、太陽の熱線から逃れ、涼しい日陰を確保するためのタープ設営は、他の全ての作業に先んじて何よりも優先されるべき緊急のタスクとなります。

今回、私たちは広範囲の快適な日陰を生み出すべく、スモア製の5メートルという大型タープを選択しました。その巨大なキャンバスを広げようとしたその時、予期せぬ突風が吹き付け、設営の初動を困難なものとしました。このやや強い風は、タープの布地を煽り、フレームワークを不安定にさせます。しかし、この広大な日陰空間を確実なものとするため、私たちはタープのサイズに見合った、太めのメインポールを敢えて使用しました。その強靭なポールをしっかりと地面に打ち込み、ロープでテンションをかけることで、どんな風が吹いても揺るがない安定性を見事に確保することができたのです。これでようやく、安心できるベースキャンプが完成しました。

タープの設営が何よりも優先
スモア Tarppi square-500 ポリコットンタープを張る

風に煽られながらも、なんとかタープが立ち上がりました。最後にポールを垂直に調整すると、まるで青空に舞う大きな翼のような美しいシルエットが完成します。「でっかいタープはかっこいいですよね」と、つい声に出してしまうほどの満足感です。

夏仕様のテント設営 – ラテロッジの魅力

続いて、スモア製のワンタッチテント「ラテロッジ」を設営します。夏の暑い日には、簡単に立てられるテントの利便性が際立ちます。メッシュ窓が随所に配置されたこのテントは、風通しを重視した夏にぴったりの設計です。

ペグでしっかりと固定し、ガイロープを張り詰めれば完成です。風が吹き抜ける度に、テントが心地よく揺れる様子を眺めていると、自然との調和を感じずにはいられません。

夏はスモアのラテロッジがおすすめ
今日のテーブルはBAKKNEL

バカラグラスで乾杯 – キャンプの醍醐味

設営を終えた後は、BAKKNEL製の無垢材テーブルとチェアを配置して、待望の休憩タイムです。いつか水性ニスを塗って、時間と共に変化する木の表情を楽しみたいと考えています。

キンと冷えた氷塊を、贅沢な輝きを放つバカラのグラスにカラン、と丁寧に落とし入れます。その瞬間の澄んだ音色は、すでに満たされた時間への序曲でございます。満月のように丸く切り取られたレモンを添えた、透明なソーダと焼酎のカクテルが、琥珀色の液体に鮮やかな光の輪を落とします。互いのグラスをそっと合わせ、「乾杯」の言葉とともに爽快な一杯を喉に流し込むのです。

清々しい青空の下、午後の明るい光を浴びながら嗜む、この背徳的な一杯のなんと格別なことでしょう。その美味しさは、夜に飲むそれとは一線を画す、一種の特別な調味料が加わった味でございます。遮るもののない大自然の中でいただくこのお酒こそが、慌ただしい日常を忘れさせてくれるキャンプという非日常の、最も芳醇なエッセンスだと私は確信しております。静寂と開放感に包まれた環境での、この贅沢なひとときのためにこそ、私たちはわざわざテントを張り、火を起こす労力を厭わないのです。「これこそが最高の瞬間です」「この至福の時間を味わうためにキャンプをしています」と断言しても、決して過言ではないでしょう。

バカラグラスでレモンハイ

夏にぴったりの冷やし中華

お昼のメニューは、揖保乃糸の中華麺を使った冷やし中華です。そうめんで有名な揖保乃糸ですが、中華麺も製造していることは意外でした。

きゅうりとハムを細く刻み、茹で上がった麺を氷水でキンキンに冷やします。木漏れ日が麺に落とす影が美しく、まるで自然のアートのようです。きゅうり、ハム、卵という定番の具材と特製スープで仕上げた冷やし中華は、夏のキャンプにぴったりの一品でした。

揖保乃糸の中華麺を使った冷やし中華

夕暮れに向けた準備 – フェザースティック作り

夕方が近づくにつれ、焚き火の準備を始めます。バトニングした木材をフェザースティックに加工していきます。コツは、ナイフの柄に近い部分を使い、体重をかけて薄く削ぐことです。作業の合間には、またレモンハイで一息。ソロキャンプの魅力は、このように自分のペースで自由に休憩できることです。

焚き火の準備と蚊取り線香の工夫

丁寧に作り上げた芸術品のようなフェザースティックを、いよいよ焚き火台の中央へと大切にセットします。木肌が薄く花びらのようにめくれ上がったその先端は、炎を最も効率良く受け入れる準備が整っている状態です。その繊細なフェザーに向かって、次に文化焚き付け、すなわち、確実な着火を約束してくれるファイヤーライターを添えていきます。

火起こしという工程は、キャンプの醍醐味であると同時に、初心者の方にとっては少々ハードルの高い作業かもしれません。しかし、この着火剤(ファイヤーライター)の存在があれば、その難易度は驚くほど下がります。確かな着火力を誇るこのアイテムは、湿度の高い日や、風が強い日であっても、瞬時に火種を生み出し、手間をかけずに炎へと導いてくれるのです。

このように刃先で削ると失敗する
フェザースティックは刃の根元で削る

夏のキャンプには虫対策が欠かせません。特に蚊の対策ですが、今日は100円ショップで見つけた蚊取り線香アロマ蚊取り線香「海風」を使用します。アロマが配合されており、従来の蚊取り線香とは一線を画す上品な香りが漂います。これは本当におすすめです。

100円ショップで見つけた蚊取り線香アロマ蚊取り線香「海風」

奇跡の富士山遭遇

朝霧CampBase「そらいろ」は、富士山と毛無山に挟まれた絶好のロケーションにあります。しかし、夏場は雲が多く、富士山を拝むことは稀です。ところが、この日は奇跡的に雲が晴れ、富士山の雄大な姿を目にすることができました。まさに「超ラッキー」な瞬間でした。

ガソリンランタンのマントル交換

夜の帳が降りる前に、キャンプのメインとなる光、「コールマンのガソリンランタン」を点灯させようと準備を進めていたところ、肝心の発光部であるマントルが、無残にも破れてしまっていることに気がつきました。これでは、期待するような明るさを得ることはできません。すぐに予備のマントルを取り出し、交換作業に取り掛かります。

ガソリンの噴射口となるジェネレーターの先端に、新しいマントルを取り付ける際は、何よりも確実かつ慎重に固定することが非常に重要でございます。ガソリンランタンは、一度ポンピングして圧力を高めた後、バルブを開いて着火する際に、一瞬、軽い爆発のような勢いで炎が立ち上がります。この着火の強い反動で、取り付けが甘いマントルは一瞬にして吹き飛ばされてしまうため、紐をしっかりと結び、位置を微調整しながら注意深く作業を進めます。

新しいマントルに交換を終えたら、点灯作業に入る前に、必ずバーナーの炎でマントルを一度空焼きいたします。この空焼きの工程を踏まなければ、マントルは光を放つ発光体へと変化しないからです。炎を近づけると、繊維状のマントルは白く灰化し、脆い殻のような状態へと変わります。この状態になってはじめて、ランタンは本来の役割を果たせる準備が整うのです。

そしていよいよ、本格的に着火しますと、最初は気化しきれていないガソリン(生ガス)によって、大きく青白い炎が勢いよく燃え上がります。しかし、その炎はジェネレーターが十分に熱せられるにつれて次第に落ち着きを見せ、やがて眩いばかりの美しい発光へと変化いたします。ガソリンランタンが放つその明るさは格別で、他のランタンとは比べ物になりません。強く、そして柔らかな光が、夜のキャンプサイト全体をムラなく温かく照らし出し、心地よい夜の雰囲気を醸し出してくれることでしょう。

静寂に包まれた夜のそらいろ

夜の帳が降りた「そらいろ」の空間は、驚くほど深く、そして完璧な静寂に包まれています。まるで世界から切り離されたかのような、張り詰めた静けさでございます。

この場所は主要な道路から遠く隔たっているため、夜間に響くはずの車やバイクが走り去る、あの喧騒めいた騒音は一切届きません。エンジン音の唸りも、ブレーキの軋みも、クラクションの響きも、ここには存在しないのです。耳を澄ましても聞こえるのは、自分の鼓動と、焚き火の小さな爆ぜる音くらいのものでしょう。

ただ一つ、遥か天空の彼方、水平線のさらに向こう側から、ごく微かに届く飛行機のジェット音が、この孤絶した空間における外界との唯一の繋がりを感じさせてくれます。あの遠い残響だけが、私たちがまだ広い世界の片隅にいることを静かに思い出させてくれるのです。この深い静けさこそが、「そらいろ」の夜の最も贅沢で、かけがえのない魅力だと感じております。

焼肉で締めくくる一日

待ちに待った夕食は焼肉です。いつもながら炊きたてのご飯と共に味わう肉の美味しさは格別です。そして、今夜のお供は純米吟醸 浦霞(そぞろ)。この美酒を気の済むまで楽しみながら、一日の締めくくりとします。

自然と共に過ごす贅沢な時間

朝霧CampBase「そらいろ」で過ごしたこの一日は、まさに癒しの時間でした。自然の中で自分のペースで過ごし、美味しい食事とお酒を楽しむ。これこそが、ソロキャンプの真髄だと改めて感じました。

雄大な富士山の麓で過ごした、この上なく特別な一日を、私はきっと、長く深く心に留めておくことでしょう。朝霧の清らかな空気に包まれ、その圧倒的な景観を終始独り占めできた贅沢な時間は、まさに都会の喧騒から隔絶された至福のひとときでした。

今回滞在させていただきました「朝霧キャンプベースそらいろ」は、その名の通り、広々とした芝生サイトのどこからでも雄麗な富士の姿を拝める、素晴らしいロケーションにございます。澄み渡った青空の下で体験した、新鮮な空気と焚き火の温もり、そして星空の下で交わした語らいの数々。その一つ一つが、私の日常を豊かに彩る、かけがえのない思い出となりました。

この記事に記録した素敵な時間と、私たちの発見が、皆様の次のキャンプ計画や、道具選びの参考になれば幸いです。皆様もぜひ、この「そらいろ」で、人生の特別な一ページを綴られてみてはいかがでしょうか。

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小川せせらぎ

ソロキャンプ大好きおじさん小川せせらぎ。全国各地のキャンプ場を撮影して写真だけでは伝わりにくいサイトの雰囲気を動画でお伝えしています。